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読売新聞の「自衛隊」報道

更新日:2020年2月1日

11月例会にも紹介した読売新聞の報道について考えてみた。


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《読売新聞~主な気になるニュースの見出し》(10月~11月)


  軍事的・覇権的的思考の浸透を狙った報道?

⑴度々報道される中国脅威論を煽る記事と自衛隊の軍事訓練。進むインドとの防衛協力

10/9中国のインド洋進出けん制、日印が防衛物品融通へ

10/24 ソロモン諸島 中国傾斜 一島丸ごと75年貸与、

10/31陸自、インド陸軍と現地で共同訓練

11/3中国 ASEAN切り崩し 比・マレーシアに経済協力

11/15兵器・舞台 見せて威嚇 SNS、テレビで宣伝戦(70年の中国 強軍路線の実像(下))の記事で)

11/16中国の海底命名 警戒必要 大陸棚近くに集中申請

11/15離島防衛 上陸作戦訓練 種子島 周辺国の侵攻想定

11/17河野防衛相が印国防相と会談、協力進展で一致

⑵海上自衛隊の中東派遣を積極支持、

10/18自衛隊部隊ホルムズ独自派遣を検討、菅氏が表明

10/19(社説)海自艦派遣へ、中東安定に積極的に貢献せよ

11/2海自の中東派遣歓迎 ヤング米駐日臨時代理大使


 ご覧のように、読売新聞(以下、Y紙)は、10月から11月にかけての記事だけでも、頻繁に中国脅威論を喧伝するような記事を載せ、また海上自衛隊をはじめとした自衛隊の海外での軍事訓練を伝える記事を載せている。


 Y紙は、安倍政権が集団的自衛権を容認する閣議決定した翌日(2014年7月2日)に、その容認を支持する社説(「抑止力向上へ意義深い『容認』」)を載せ、また翌年の安保関連法が成立した翌日(2015年9月19日)には、その成立を高く評価するを社説(「抑止力高める画期的な基盤だ」)を載せるなど、現政権が押し進めている防衛政策を支持する新聞の一つである。


 それゆえだろうが集団自衛権を容認し、安保関連法を成立させた安倍政権の防衛政策の具体的展開として行われている自衛隊の他国との共同訓練、海外派遣についても積極的に報じている。記事の特徴としては批判的視点が全く見当たらない防衛省・自衛隊の《広報紙》なの?と勘違いしてもおかしくない報道ばかり。


 それらの自衛隊の動きと軌を一にするようにしばしば目にするのが中国脅威論を煽るような記事だ。集団自衛権の容認や安保関連法の必要性の国際的環境の一つに中国の軍事費増大や東シナ海や南シナ海への海洋進出を取り上げていたが、2018年防衛白書にも日本が監視すべき対象国のように、中国の軍事面が大きくページを割いて説明されていた。中国脅威論が日本の防衛政策に欠かせないものになっているの?と勘ぐりたくなる。


 ところで政府の政策への支持を鮮明にする報道機関があってもいいのかもしれないが、その政策にごまかしあり、その政策の行方に危惧する事態(暴走する点など)が出てくれば、報道機関であるならばその問題を指摘することに躊躇してはならないのは当然だ。


 2018年の防衛白書に明記されているように、集団自衛権が容認され、安保関連法が成立している今日においても、この国の防衛政策の一つに《専守防衛》がある。ところが軍事ジャーナリスト前田哲男さんは集団自衛権が容認され、安保関連法が成立、2015年日米ガイドラインが改定されたことで、専守防衛が「捨て去られた」(出典「自衛隊の変貌と平和憲法」P24.L16)と指摘している。(注)


 平和憲法下の防衛政策を担保する重要な政策の一つが専守防衛政策だ。今それが危機に瀕しているとすれば、少なくても生じている事実に即して、警鐘を鳴らすべきなのが報道機関でないか。 

(注)半田滋さん(東京新聞論説委員兼編集委員)も,護衛艦「いずも」の空母化、敵基地攻撃を可能にする長距離ミサイルの保有化などをあげ、2018年防衛大綱の中身は、『専守防衛の放棄』とはっきりと指摘しています(半田滋著「安保法制下で進む先制攻撃できる自衛隊」P64.3L)

                    ( 12月Opinion/ 12月10日/文責:大島俊夫)

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