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選挙報道第3回目 公開質問状メディアと選挙時における公開アンケート


            ~市民活動と候補者アンケート~


                                 堀江節子



 新聞の選挙報道に注目して3回目を書いている。高岡市長選は自民党の予備選を経て同じ顔ぶれの保守系無所属3名による選挙戦となった。地元紙の北日本新聞は、富山市長予備選に準じた紙面だった。多様な報道があるが、今回は市民グループによる「公開アンケート」に焦点を当てた。


候補者・主権者に公的課題を提示する公開アンケート


 市民グループが、当該の問題について告示前に立候補者に公開を前提にアンケートを行い、回答をグループのホームページ(以下HP)などに掲載し、プレスリリースすることは従来から行われている。インターネットで調べると、SNSが普及した2000年代に入ってからの関連記事が多く見られる。ふつうは新聞で読んでからHP上の詳細な回答へアクセスするため、メディアへの働きかけが必要となる。

 市民グループが運動を進めるうえで、首長や議員の当該の課題に関する考えを知ることは重要である。候補者に回答する法的義務はないとはいえ、選挙時であれば主権者を意識して無視することは難しい。投票の参考に資する、また候補者と主権者に課題の存在を知らせる意味もある。公開アンケートは、市民グループと候補者、主権者をつなぐコミュニケーションツールといえる。

 高岡市長選挙では、2つの市民グループが3人の立候補予定者にジェンダー関連の公開アンケートを実施、その結果が6月23日の北日本新聞と富山新聞に掲載された。翌日にはや北陸中日新聞でも報じられている。

 2つのグループとは、①NPO 法人Mプロジェクト‐ひと・みち・まち(大坪久美子理事長)「ジェンダー平等実現に向けた政策、子どもの権利条例制定、男女共同参画の地域防災推進」と、②選択的夫婦別姓を実現する会・富山(埜田悦子世話人代表)「別姓制度の導入の賛否について」と、ともに今日的に重要な課題に取り組む。従来ジェンダーは選挙の焦点とならなかったが、コロナ禍で女性の貧困や子どもの問題などが喫緊の課題となっており、例え投票の決め手にならなくても候補者の考えや傾向を知る参考になる。


公開アンケートの公表、新聞掲載の経緯


 では、実施してみてどうだったのか、2グループにアンケート方式で取材を行った。

1.公開アンケートの目的については、①は、「候補者3名の考え方を知り、市民に知らせるため」、②は、候補者に当該テーマについて関心を喚起し、主権者に「投票行動の判断材料として提供するため」とする。②は加えて、「民法改正を目指している当会は、国会はもちろん、地方議会の賛同も要請していきたい」と考え、事前に知ってもらうことはその後の展開にも有効だとする。

2.すべての候補者から回答があった。市民グループは、会のHP等で回答を公開する一方、高岡市役所記者クラブに持参、①はその場で取材を受けている。市民グループは回答をそのまま掲載するが、新聞は要点を書くことができる。

3.課題についての考えは、①は、「3人3様で、違いが分かってよかった」、②は、「2名はこのテーマについて自らの経験上身近に感じていて理解を示された。そのうちの1名は法改正に向けて前向きな考えを示された。他の1名は「国レベル」の案件として自らの判断を留保された。」と答えている。

4.記事について、①②ともに、限られたスペースで3者の考えの要点が簡潔に紹介され、2紙は回答の詳細がHP等で見られると付記していた。

5.読者からの問い合わせについては、①はメールや電話で意見が届き、②はとくに気づかなかったが、①②ともに投票行動の参考になったと推測している。

6.公開アンケートについて。①は、今回初めての試みだったが、「市民が政治に関心を持つように様々な方法を考えていきたい」と、手ごたえがあったと書く。また、新市長は「子どもの権利条約」条例制定をめざすと回答している。②は、紙面公表のイニシアチブは新聞社にあるが、別姓制度は新聞社が独自に取材してもいいテーマだと考えている。新市長から前向きな意見をもらっていることが最大の収穫とする。


 いずれの市民グループも、公開アンケート実施を前向きに評価している。また、連携して取り組むことで紙面の扱いが大きくなったと聞くが、新聞メディアに対しては選挙報道にジェンダーという切り口を提供することになった。今回のアクションは、高岡市政に新風を吹き込む第一歩であり、今後も女性や子どもを主体とする政策の推進に積極的に関与されることを期待している。

 メディアには、市民グループを取材して、市民目線で政策の展開を報道していただきたい。





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