「差し出されて、宙に浮く暴力団事務所」
射水市桜町自治会は同町内にある本江組事務所の退去を求めて、訴訟、デモなどの活動を展開して、解散、退去に追い込んだ。同組は事務所を提供するから、そちらの自由にしてほしいと差し出した。ところが、受け手がいなくて宙に浮いている。
1.チューリップテレビ報道。
射水市に事務所があった暴力団本江組が解散したと、県警が28日発表しました。 解散したのは、射水市の指定暴力団、山口組四代目本江組です。本江組は2017年4月、地元住民から組事務所の使用差止請求訴訟を受け、去年3月に事務所を退去していて、先月31日、組長が警察に対し解散したことを伝える誓約書を提出しました。これを受け警察は、活動実態などを確認し28日、解散したことを公表しました。 リポート「解散はしましたが、残っているこの建物。地域住民は今年の夏、射水市に解体を求める要望書を提出しましたが、まだその目途は立っていません。引き続き要望を続けてきたいとしています」 地元住民は「非常に不安でしたが、解消されてありがたい。この機会に射水市で手に入れて建物を解体してほしい。その後利用するか、民間に売却する方法を考えてほしい。あの建物がある限り不安です」 警察では、別の組織が使いださないよう、引き続き建物の監視を徹底することにしています。 2.射水市桜町町内会長の困惑
射水市が取得して、解体後に売却するか、市所有の公共施設にしてほしいと要望したが、射水市は再利用する用途はなく、そこに税金を投入することはできないと回答した。町内会長は射水市に要望を続けるしかないとするが、住民からはいつまでも放置しておくのかと懸念の声が挙がる。
解体費は300万円を超える。広く寄付を募るかという声もあるが、そんな後ろ向きの寄付に応ずる人はないだろうとの声も。
3.射水市は暴力団事務所の解体に税投入の根拠が見いだせない
射水市は暴力団事務所という空き家に税金を投入して処理していくことに、正当な根拠が見いだせない。普通の空き家と暴力団事務所空き家、どちらも買い手のない物件ということに限れば、この暴力団事務所だけを例外として処理するわけにはいかない。それが通れば、すべての空き家が市の取得対象とならざるを得ないからだ。
4.空き家問題は都市衰退を加速させる。
日本中いたるところに空き家が存在する。近所を見渡してだけで、老老世帯、老人独居と指折ることができる。数年先の空き家予備軍を数えれば、立ちすくんでしまう。これは国や自治体も同様で、耐震構造の施されていない建物、耐用年数をはるかに超えたインフラ設備など負の投資ともいうべき物件は数え切れなく存在する。因みに富山市立五福小学校は今夏に解体されたが、3億5413万円を要した。
少子高齢化のもうひとつの想像したくない眺めである。
( 12月Opinion/ 12月10日/文責:甲田克志)
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