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ガメラ7

富山市長選挙「自民党候補者」予備選と地方紙

更新日:2021年3月13日

 4月18日に富山市長選・市議会選挙がある。昨年末までに自民党の6名、他党3名が立候補を表明したことで、自民党は推薦候補を選ぶ予備選挙を行うことになった。アメリカ大統領選のようにオープンな形での候補者選考を進めるというので、論戦に期待した。一方、昨年の知事選で現職の新田知事は自民党富山県連合会(県連)の推薦を得られず、直接市民に判断してもらうと立候補して当選した。自党内で候補者を絞ることの是非を知りたいと、1月初めから購読している北日本新聞に注目した。

 

◆以下は、掲載日の見出しなどと筆者の感想(太字)


1月5日:国会議員は、選考に当たっては、「一本化は当然」「ふさわしい人を」「納得する手法で」保守分裂を回避にすることが重要との意見。国会議員の意向が大きく影響するようだ。地方自治の自立はあやしい。

7日:自民選考明日基準決定。ポイント配分固める。

9日:国会議員と森市長の票の持ち分が多いのは、両者の意向が候補者を決めるポイントの一つとなると新聞社。 

13日:1面、5面で6名の写真入りで、「別に候補者が決まったら出馬しない」との誓約書にサインしたと報じる。どうしても立候補したければ離党するということか?世論調査に採点配分の2割がある。世論調査は党以外の意見も取り入れるのが狙いというが、質問内容が知りたい。

15日:富山市議選立候補者、新人含む20名の自民党公認者氏名を記載。

16日:告示を待たずに動き出したと、予備選候補1人10行ずつの動向記載。

20日:「自民予備選きょう告示」、「予備選候補者」氏名のみ掲載。  

21日:1面に「県都の未来へ決意」「県議・市議6氏合同会見」横組み見出しと6人の写真。市長選立候補者ならOKだが、自民党内の立候補者選びでは? 「自民党が候補者選びで党員投票や世論調査を行うのは異例。知事選への批判を踏まえて…」と異例を強調。 

7面に6候補者の大きい写真入りの略歴、「得意分野の政策前面」と政策や主張掲載。地方紙は県の広報紙か?と批判する人がいるが、こちらは『自由新報』号外の感あり。市民の関心は大きいが、党内の人選に公器である紙面を使っていいのか?

24日:初の合同街頭演説会。6名の集合写真と各候補の主張。初めて自民党以外の立候補予定者2名の写真と主張、もう1名は写真なし。ちなみに、15日のうち9回、末尾の数行に立候補予定者がいると書いて「配慮」はあるようだ。

25日:比較的小さい写真入り。主張の内容は同じ。掲載の必要があるのか?

26日:北日本新聞は、6名に予備選アンケートを行い、紙面の4分の3を使って掲載。市長選の投票には必要だが、これは一般市民には不要。

27日:公開討論会の公約を紙面の半分近くを使って掲載。ますます違和感。

28日:街頭演説の写真。予備選は自民党市連と旧町村6支部の選考委員会が実施主体とわかる。

開かれた選考を求める党員の声にある程度答えることができたとのコメント。何を根拠に?

31日:「推薦候補きょう決定」「予備選開票」

2月1日:1面は、「自民推薦は藤井裕久氏」「全てでトップ」。市長が決まったかのようだ。

2面には、「各議員らの投票先とその理由」の表。自民党議員が何を判断基準に議員活動をしているか興味深いが、一般紙には不要。3面には「旧市での浸透課題」「市議選候補との連携へ」。「吉田氏警戒」、自民党の発言をそのまま書くのあり?

2日、3日:攻防 自民予備選上「論戦後は結束演出」、下「世論調査結果に安堵」。市民目線が必要だ。


 1月31日間の約半数に立候補者の主張が繰り返し掲載され、日を追うごとに見出しと写真が大きくなっている。知名度を高めるために立候補しておけばよかったと思う人がいただろう。自民党の主張が垂れ流され、市政に何が期待されるのかといった、市民目線が感じられず、もしかして、購読者を党員と思っている?こうした報道を新聞社内ではどう考えているのだろうか。また、他党の市長選立候補者はどうなんだろう。

 朝日新聞2月7日の「日曜に想う」に「ニュース砂漠 信頼の担い手は」との記事があった。米国の地方で進む「砂漠化」についての論考だった。地域経済が悪化すると地方紙が消え、その結果自治体の財政が放漫になり、政治への関心が薄れたあとに国政レベルの分断が地方に持ち込まれるという。日本の地方都市も同じ危険を抱えている。人口減少や新聞社の経営の多角化、ネット通信などで紙媒体の発信力が弱体化している。当地の地方紙は健在のようだが地域の公器、ウオッチドッグとしての役割を果たしているのだろうか。先の記事の言葉を借りれば、「ジャーナリズムを支える生態系は、市民の『信頼』なくしては成り立たない」。

 報道は社会意識の反映といわれるが、地方紙には公正さを期待する。

                       (2月オピニオン/文責 堀江節子)





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