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〔テレビウオッチ⑴〕~「心の置き去り、ほっとかれへん」(NHK Eテレ1/18放送)、「新型コロナ」 自宅療養者を支える医師たち(TBS報道特集2/14放送)~ 

 最近見たテレビ番組で印象深い番組が2つあります。一つがNHKしか作れないだろう、長い年月をかけ取材し制作されたNHKらしいインタビュー番組「心の置き去り、ほっとかれへん」。「こころの時代」というNHKのEテレで放送された番組です。昨年放送され、視聴者からの評価が高かったのか、今年1月にも再放送されたものを見ました。阪神大震災が起きた当初から被災者の家を一軒一軒訪ね、支援活動を続けている牧秀一さんへのインタビュー番組。単に住むところができたり、それなりの法律や政策が実施されたとしても「人は人でしか救えない」という牧さんの言葉は功利主義に染まってしまっている私たちにとって心にしみる言葉でした。番組には20数年前に起きた阪神大震災から長いあいだ牧さんへの取材をし牧さん自身の活動の中の苦悶する姿も丁寧に追った記録撮影を織り交ぜて構成された見ごたえあるドキュメンタリー番組になっていました。

 もう一つがコロナ禍で、大きな問題になっているのに伝えきれていなかった病院等の医療施設に入れない自宅療養者問題に光を当て、そこに良心をかけて取り組んでいる医師の姿を追った、ニュース番組の中のひとつの特集として放送された『「新型コロナ」自宅療養者を支える医師たち』です。都市圏では感染者が増え、政治や行政の対応のまずさもあり、感染者が医療機関に隔離され医療を受けられない自宅療養者が数千人います。自宅療養者が医療を受けられないまま死亡するケースもニュースとなっており、対応が切迫している中、彼らに手を差し伸べ始めた医師たちの動きを追った報告です。京都では行政機関もバックアップしながらの動きが伝えられていました。昨年3月から自宅療養者を支え続けている「感染者を死なせない」と語るN医師の懸命な姿は心打つばかりでなく、この国のコロナを取り巻く医療体制の問題を明らかにしていました。

 良質な番組を制作する人たちがまだまだこの国には多くいる。そう思わせてくれた2つの番組でした。(文:大島俊夫)

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