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コロナ禍の差別とメデイア~あるうわさ


 新型コロナに関して、全国の法務局などに寄せられた差別や中傷を含む人権相談件数は6月15日時点で1500件に上るという(注1)。富山の法務局人権擁護課に問い合わせると、相談当事者との信頼関係を考慮し相談件数すら発表していないという返事をもらう。しかし県や市のホームページには、「感染者に対する差別をやめよう」という同様のメッセージが掲載されていることから、どこでどのような差別が誰によってなされているかわからないが、県内で何かしらの深刻な差別が複数起きているのを推し量ることもできよう。


 あるうわさ 富山で初めてコロナ感染者が出た時にその感染者の大学生がいわれなき悪意に満ちた誹謗中傷を受け、ノイローゼになり、その家に石まで投げられ窓ガラスが割れ、警察沙汰にもなった。その後、家族の一人は会社まで辞め、その実家を離れ引っ越しを余儀なくされたという噂を5月の初めごろに毎月父親の月命日に自宅にお参りに来る住職からたまたま聞いた。8月の月命日にその話を誰から聞いたか尋ねると、その住職がお参りする檀家の家で聞いたという。8月のニュースレターの編集会議の席でその噂について話題にすると複数が同じ噂を聞いていることがわかった。しかも不思議なのはその噂が事実ならば深刻な人権侵害問題だが、知る範囲ではそのことを全く県内メデイアが伝えていないことだ。果たして単なる噂だったのか。


 そこで、その噂の真偽を確かめてもらうためもあって、たまたま北日本新聞が8月から始めた「あなたの知りたい!特報班」にさっそく投稿してみることに。すでに投稿して20日を経過するが今のところ取材を開始するという連絡はない。被害当事者のプライバシーの配慮もあるのか。別のマスコミ関係者に聞くとニュースにできるかは直接取材ができるかどうかで決まるとも。8月21日の毎日新聞は大阪在住の医師が書いたコラムの中で、たぶん富山で起きた事例と思われる噂話をPCR検査を嫌がる大学生から聞いた話として紹介している

(注2)。噂話としての紹介だが直接取材ができたのだろうか。


 ここ最近、感染がらみの差別事例を伝えるニュースが相次いでいる。(注3)

この種の問題への取材には様々な難しさはあるだろうが、感染者差別が改めて問題視される今、世論の形成に大きな影響力を持つ県内メデイアも、行政の動きを伝えるだけでなく、積極的に警鐘を鳴らす、主体的な報道・番組作りを期待したいと思う。

                        (8月オピニオン/文責:大島俊夫)


(注1)公明新聞2020年6月24日『新型コロナ人権侵害なくそう』

(注2) 毎日新聞2020年8月21日「 新型コロナ 差別を恐れ検査を嫌がる人たち」

(注3)差別事例を伝えるニュース

・NHKフェークバスターズ 8月22日10時55分~

・読売新聞2020年8月21日天理大生の教育実習拒否 クラスター無関係 「不当な差別」懸念

・同新聞8月23日 部活クラスターに中傷 電話80件、生徒の写真拡散

・朝日新聞2020年8月21日 コロナ感染者らへの人権侵害禁止 条例制定の動き広がる

・茨城新聞2020年8/18(火) 12:21配信【速報】新型コロナ、感染者への差別禁止 茨城県が条例制へ

・朝日新聞2020年8月25日「感染ゼロ県」で1例目に 中傷の嵐の後に届いた赤い花

・ 毎日新聞2020年8月21日 新型コロナ 差別を恐れ検査を嫌がる人たち

・NHKニュース2020年8月25日 19時45分

【全文】コロナ感染者への差別や中傷しないで 緊急メッセージ(文部科学省)

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