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ガメラ7

コラム ≪沖縄のいま⑷≫      ~あきらめない沖縄~  

更新日:2021年1月5日


「普天間飛行場代替施設建設事業 公有水面埋立変更承認申請書」告示・縦覧と知事への意見書

 沖縄防衛局は本年4月21日、「普天間飛行場代替施設建設事業 公有水面埋立変更承認申請書」(当稿では「変更承認申請書」とする)を沖縄県へ提出した。大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事が必要になったからだ。

 沖縄県は9月8日から、変更承認申請書の告示・縦覧を開始した。当初は7月下旬からの予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大により県独自の緊急事態宣言下にあり、延期していた。縦覧会場は名護市内7カ所と沖縄県行政情報センター(県庁舎内)の計8カ所。添付図書などを含め約2200頁の申請書が展示された。沖縄県土木建築部海岸防災課のHPからも閲覧可能だった。縦覧期間は28日までの3週間。その間に、自らを「利害関係人」と思う人は誰でも沖縄県知事に意見書を出すことができると県の説明にある。

 県は今後、内容を精査し、縦覧で寄せられた意見に加え名護市からの意見も求めて最終的な判断を示す。結論は来年1月以降になる見込みとのこと。

 政府・沖縄防衛局は今回の軟弱地盤改良工事に伴う変更に際し、工費は当初予定の2.7倍の9300億円、工期も10年以上延び、普天間飛行場返還は2030年代以降とした。工期の起点は沖縄県知事が変更を承認した時点からである。一方、沖縄県は大浦湾の軟弱地盤が判明後、工費は2兆5500億円と試算している。

 普天間飛行場の代替施設とされる辺野古新基地は日本の税金で造られる。知事選や国政選挙、また県民投票で示された沖縄の民意は政府によってことごとく無視されてきた。日本の民主主義の危機的状況がここにも表れている。この状態を主権者として容認できるのか。利害関係人は沖縄県民のみならず日本に住む納税者全員と見做すことができる。


 さて、このことが沖縄県外ではどれだけ報道されたのだろうか。沖縄県内メディアは連日関連情報を報じていた。ところが残念なことに、県外メディアの報道は少なかった。東京新聞(富山では北陸中日新聞)9月25日に掲載された中沢誠記者の「ニュースが分かる 辺野古の軟弱地盤」は良く解説された記事だった。しかしここでも、利害関係人が沖縄県知事に意見書を提出できることが書かれていない。菅新政権が「辺野古が唯一」の姿勢を堅持する以上、沖縄の民意と政権の齟齬を「沖縄問題」に矮小化してはならない。

 変更承認申請書には大浦湾の地盤改良工事がなぜ必要になったかの記載がない。また、軟弱地盤改良工事の面積・深さ・改良のため打ち込む砂杭の本数など具体的内容の記載もない、地質学者が指摘する活断層の調査もされていない、汚濁拡散が懸念される工法が採用されている等、さまざまな問題点が複数の識者から指摘されている。肝心の説明が不十分な変更承認申請書をもって沖縄県知事に承認を求めるのは、政府として誠実な態度とは言えない。

 24日には参議院議員会館において、公益財団法人 日本自然保護協会が主催して防衛省交渉が行われた。交渉の中で、大浦湾に作業船が1日当たり最大100隻以上集中することが分かった。それに加えて、海上警備の船や海上保安庁の監視船も出る。とても、ジュゴンやウミガメが戻れる環境ではない。

 大浦湾の軟弱地盤改良工事は世界に類を見ない難工事だ。辺野古側の浅瀬の埋め立てとは比較にならない。本当に生物多様性の海を守りながら工事を進行することができるのか、極めて慎重な判断が必要だ。

 9月29日の琉球新報によれば、沖縄県知事への意見書は24日現在で5992件(速報値)寄せられている。

座り込み6000日 辺野古浜のテント村

 9月21日、辺野古漁港横の浜のテント村での座り込みが6000日となった。起点は2004年4月19日。当初、海底ボーリング調査を阻止しようと市民らが海上に設置されたボーリング調査用の櫓に座り込み、調査を中止へ追い込んだ。沖縄戦を生き抜いた「命を守る会」の年配者たちが「再び沖縄をイクサの島にしない」と浜に座り込んだ。それから16年以上。県内外からの訪問者にその時々の状況を説明し、辺野古新基地反対の思いを伝えてきた。

 この間に、眼前に広がる海の様相は大きく変化した。今は、辺野古側の浅瀬の埋め立てが進み、目の前に護岸が広がり、嵩上げ作業が続き、アジサシたちが羽を休めた岩もやがて埋もれてしまう具合だ。それでも人々は諦めることなく、「希少種が多い、大浦湾の豊かな海を守らないといけない」と意思を示し続けている。テントの脇には「勝つ方法はあきらめないこと」と書いた横断幕がある。          (9月Opinion/文責:小原悦子)


申請書類を確認する「沖縄環境ネットワーク」のメンバーたち=8日午前、県庁

(琉球新報電子版2020年9月8日より)


座り込み日数「6000日」を示す看板と、抗議活動を続けてきた市民ら=21日、名護市辺野古  (琉球新報2020年9月22日より)

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