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「性差別社会」を映す、新聞メディア

更新日:2021年1月5日


どちらの国に明るい未来を感じる?



 「おじさんだらけ菅政権、与党党首全員女性のフィンランド政権と比べてみた」との記事が2020年9月25日の毎日新聞電子版に掲載された。フィンランドは国会議員がほぼ男女同数で、写真は昨年12月に発足した政権のサンナ・マリン首相(34)と連立を組む党の党首4人で、5人のうち4人が30代だという。9月16日に発足した菅政権幹部5人の写真もついている。5人の平均年齢は71・4歳で全員男性。

 写真とは関係ないが、日本の国会では衆議院の女性比率は9.9%、先の菅内閣での女性閣僚は20人中2人、おんなじ比率か! ちなみに地方議会の女性議員比率は14%超で、こちらも半数に程遠い。議員立法で成立した「政治分野の男女共同参画推進法」はただのお題目にしてはならない。

地域情報は地方紙で

 女性管理職比率が話題になったのは、第5次男女共同参画推進基本計画が机上に登ってきたからだ。こちらは、女性30%を目標にしている。北日本新聞(2020年7月16日)は、「(2020年までに指導的地位に占める女性の割合=)女性登用率30%先送り-政府20年目標達成断念」の記事を掲載した。2019年度の企業や公務員の女性管理職比率は14.8%と目標の30%の半分、しかもいつ達成できるかわからないという。米国やスウェーデンが40%超、ノルウェー、フランスで30%超だが、これでは政策や企業の方針に男女平等の視点が入らず、ひいては女性や性的少数者など社会的弱者の権利を抑制することにつながる。女性活躍を成長戦略の柱に位置付けてきた安倍政権だが、逆に経済的損失をもたらしたともいえる。

地方紙がこのような記事(共同通信発が多い)を掲載するのは大歓迎だが、願わくば富山の関連情報を加筆してほしいものだ。「女性議員がひとりもいない地方議会もある」に含まれるのかもしれないが、現在の富山県議会での女性比率は10%(40人中4人)、15市町村議会における女性議員比率2019年3月現在8・5%と、いずれも全国平均を下回る。

 経済的な事情から3紙しか契約していないので偏りをお許し願いたい(他紙・他誌は無料の電子版を活用)が、朝日新聞「遠い女性の地位向上」(2020.9.6)は、全面をつかって、「SDGs(持続可能な開発目標)で、17の目標の一つに掲げられているジェンダー平等…」を以下の小見出しで論じている。「17年費やして現状1割」「中央の動きもっと加速を」「国会のクォータ制 議論必要」「まずは正社員の増加から」「男性社会の価値観 変えねば」と来て、市民の意見「メディアに問題  -男性特権自覚して」で着地している。30代女性は、「メディアに意識の欠如-人々の意識の形成に大きな影響を与える新聞社をはじめとするメディアにおいて、意思決定層に女性が少ないことが問題…」と書く。

 確かに。元新聞記者の友人が、十数年前に女性関連の企画を出したが通らなかったとぼやいていた。近年になって彼女は長年温めていたその企画をネット媒体で実現したが、もし上司が女性だったらそのときに書けたかもしれない。そう考えると、新聞本社やキー局だけでなく、地域情報を発信する地方新聞社、全国紙支局、ローカル局などの女性管理職率、さらに女性比率などを調べてみるのは面白いかもしれない。

メディアが与える、社会運動への影響

 現在、富山では、女性差別撤廃条約「選択議定書」の早期批准をもとめて、4人の女性県議とともに県議会で国への意見書提出を可決しようという市民の動きがある。これも報道なくしては社会に伝えられないし、市民の理解も得られない。この動きに私も関わっている。幸い、趣旨を理解して継続的に取材するメディアもあるが、政治、経済、教育、福祉などからすると重要度が低く見られている感がある。男女平等は社会のクオリティにとっては、重要な要素だと思う。

 皮肉なことに、昨今女性関連記事が増えている。コロナ禍で弱い者がより大きな影響を受けるというので女性が取り上げられる。そのことを書きたかったが、指導的地位に占める女性の割合の話で紙幅が尽きてしまった。次回にしたい。  

                          (9月Opinion/文責:堀江節子)





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