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11月8日「新聞記者桐生悠々 忖度ニッポンを嗤う」講演会

更新日:2021年1月5日

 2018年8月北陸朝日放送が放送したドキュメンタリー番組「言わねばならないこと~新聞人桐生悠々の警鐘」を制作した同放送局の現報道制作局長・黒崎正己さんをお招きし、桐生悠々を通して現在のメデイア問題を考える講演会を開きます。

 この番組のタイトルにもなっている「言わねばならないこと」という言葉が桐生悠々を理解する上でのキーワードになっています。    

 桐生は、個人雑誌「他山の石」1936年6月5日号で、「言いたいこと」という言葉と区別し、「言いたいこと」は権利の行使であるが、「言わねばならないこと」とは義務の履行であり、それには犠牲を伴うと説明しています。

 実際、彼は信濃毎日主筆時代、1933年8月11日の「関東防空大演習を嗤う」という記事を書いたことで在郷軍人会からの圧力を受け、同社からの退職を余儀なくされます。信濃毎日を離れて以降も、個人雑誌「他山の石」を1934年6月に発刊し、病気で死が迫った1941年9月まで発行し、その雑誌を通じて節を曲げることなく社会への批評を行い続けました。そして驚くのは発行した「他山の石」177号のうちなんと、29回もの発禁・削除処分を受けています。

 明治憲法下で、多くの言論抑圧立法があり、満州事変等の中国侵略が本格化し、ほとんどの新聞が雪崩打つように政府批判の論調がなくなり、政府と一体となって戦争を賛美する報道で染まっていく時代においても、言論人として言わねばならないことを言い続けました。


講演のタイトルの「忖度」という言葉

 ニュースキャスターの金平茂紀さんは、自著で「日本のテレビ報道でいま何が起きているか~メデイア危機の日本的諸相」の章で、現政権(アベ政権)のテレビ介入の実態事例を挙げた後、『危機の本質は、メデイア内部に生起している自主規制、忖度、萎縮にこそあり、さらに自発的隷従へと突き進む僕らメデイアの側の姿勢にあるのだと…』(出典「抗うニュースキャスター」p270)述べました。

 今問われるのは、日本国憲法下で言論表現の自由が保障されているのに、報道機関や報道人、もちろん私たち市民も伝えねばならいこと、言わねばならないことを果たして伝え、言っているかです。

 今回の講演会で参加者のみなさんと共に考えたいと思います。

                           (9月Opinion/文責:大島俊夫)

                                               


★以下の資料は金沢ふるさと偉人館で展示されています。

 上の資料/ 信濃毎日新聞1933年8月11日の記事「関東防空大演習を嗤う」

 下の資料/ 個人雑誌「他山の石」の一部




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